爵位や財産には興味がないセントジャストだったが、彼は国王から伯爵位を授かった。
与えられたヨークシャーの領地は、管理されておらず荒れ果てているうえに、
敷地内には以前そこをおさめていた伯爵の庶子である女児がうろついていた。
その子ども──ウィニーの父親が死んだのは、セントジャストのせいだった。
彼女の面倒を見ているのは、屋敷の近くに住むパン職人のエミーだ。
不格好なドレスに冴えない髪形なものの笑顔が美しいエミーは、ウィニーの親戚だという。
父親を奪った罪滅ぼしに、ウィニーには必要なすべてを与えたい。
セントジャストは、エミーに住みこみの家庭教師になってほしいと頼み──。