伯爵家の息子キットは、久しぶりにロンドンの屋敷に戻ってきた。
理由は、双子の兄のイヴリンが面倒に巻きこまれているといった胸騒ぎがしたからだ。
案の定、屋敷に兄の姿はなく、母親からは十日も帰ってきていないと知らされる。
明日、求婚相手であるクレシーの家で開かれる晩餐会に
出席しなければならないということも聞かされ、
もしイヴリンが時間までに戻らなければ、
彼に成り済まして晩餐会に行くと約束させられてしまう。
一日だけ兄のふりをしてクレシーの相手をすればいいと思っていたけれども、
次第に泥沼にはまりこんで……。