面白いことなど一度も起きたためしがないリトル・マーチング村。
そこに住む準男爵の娘であるペネロピは、下劣な男との婚約を二度も破棄したことを除けば、
平穏な毎日を送っていた。ハンサムな王子さまが現れて、ごく普通の娘を
はるか遠くの王国へ連れていってくれるなんて、おとぎ話の中でしかありえない。
いつまでもこの暮らしが続くのだろうと思っていた。
そう、漆黒の馬に乗った本物の王子が村にやってくるまでは。
王家の血筋を引く娘を捜しにきたのだというダミアン王子の登場で、
ペネロピの周囲は慌ただしくなって──。